京都の寺社を巡ってはその様子をご紹介していますが、そこで出会うのがさまざまな仏様です。
ひとことで仏様と言っても、如来(にょらい)、菩薩(ぼさつ)、観音(かんのん)、明王(みょうおう)、天部(てんぶ)など種類もたくさんあります。
〇〇如来、〇〇菩薩、〇〇観音など、仏様の名前を耳にする機会はあると思いますが、ではその違いをご存知でしょうか?
それぞれちゃんと役割があってついている名前ですが、言われてみるとよく分からない…違いなんて知らない!という人も多いと思います。
そこで今回は、如来、菩薩、観音の違いと明王や天の見分け方についてご紹介したいと思います♪
まずは仏様の違いを確認して、次にそれぞれの仏様の詳細をご紹介しますね。
如来、菩薩、観音の違いは?明王と天の違いも!
如来、菩薩、観音の違いは、次の通りです。また、明王と天についても記載しています。
- 如来:悟りの境地を開いた、最高ランクの仏様。
大日如来・阿弥陀如来・釈迦如来・薬師如来など - 菩薩:まだ悟りの境地に到達していない、如来の次のランクの仏様。
弥勒菩薩・観音菩薩・普賢菩薩・千手観音・地蔵菩薩など - 観音:菩薩の中の一仏様。
- 明王:仏教の教えに従わない者たちをこらしめる仏様。
不動明王・金剛夜叉明王・降三世明王など - 天、天部:仏教世界に煩悩が侵入することを防ぐ仏様。
毘沙門天・弁財天・大黒天・梵天・金剛力士など
よく知らないと如来も菩薩も同じような仏様に思えますが、悟りを開いたか開いていないかは、大きな違いですね。
如来は最高ランクの仏様!
如来とは、悟りを得た状態の者のことをいいます。では、そんな如来の特徴とはどんな事でしょうか。
- 服装は簡素
- 螺髪(らほつ)がある。※螺髪はブツブツ状の髪型の事
- ふくよかな顔立ち
- 持ち物を持たない
明王も菩薩もすべての仏が大日如来(だいにちにょらい)の化身だとされています。
大日如来は、全宇宙を統括する仏毘盧遮那如来(びるしゃなにょらい)がさらに進化した仏のことをいい、密教では宇宙の真理を表し、宇宙そのものを指しています。
如来は出家後の姿のため、装飾品は身につけず簡素な服装です。しかし、大日如来だけは別格で、豪華な装飾品や宝冠を身につけ着飾っています。また、螺髪ではなく髪を結い上げているのも特徴です。
これは、ある時は菩薩となり人々を導き、ある時は不動明王となり命がけで救う、積極的な姿を表しているのだそうです。
有名な奈良の大仏は、毘盧遮那如来なんですよ^^
ちなみに、鎌倉の大仏は、極楽浄土の案内人と言われる阿弥陀如来(あみだにょらい)です。
このように、如来は最高の境地に至った存在なので、最高位の仏なのです。
菩薩(観音様)はまだまだ修行中!
菩薩は、仏の教えを実践する者、悟りを求めて修行する者のことをいいます。
如来と違い、菩薩は装飾品を身につけています。これは、まだ悟りに至っていないことを表わしています。また、様々な道具を持ち、これらを駆使して人々を救うとされています。
釈迦の教えで救われなかった人々を救済するといわれている弥勒菩薩(みろくぼさつ)は、釈迦の次に悟りを開くとされています。
仏の中で如来の次位に位置するのが、菩薩なのです。
- 冠や首飾りなど装飾品を身につけている(地蔵菩薩は例外)
- 様々な道具を持っている
三十三間堂のとても立派な千手観音坐像も、観音さまですね。たくさんの人を救うべく、無数の顔や手を持っています^^
<公式パンフレットより>
三十三間堂の千体の千手観音立像は圧巻の一言です。こちらも良かったらご覧ください。
三十三間堂の見どころ紹介!御朱印も頂きました♪明王は忿怒の形相で!
<霊山観音の不動明王像>
明王とは、仏教の教えに従わない者たちを忿怒(ふんぬ)の形相でこらしめ、教えに導く仏です。大日如来が変化した仏だとも言われています。
では、明王の特徴を見てみましょう。
- 怒りの形相
- さまざまな武器を持っている
- 岩や動物などいろいろな物に座している
- 手や足や顔の数が違う
だからみなさん顔が怖いんですね、、、納得です(;´∀`)
こうして理由を知ってみると、今までとは違った気持ちで明王を見ることができそうです(笑)
菩薩の次のランクにいるのが、こちらの明王なんです。
天は仏教世界のガードマン!
天はインド・ヒンドゥー教に由来する神様で、仏教の世界に煩悩が侵入することを防ぎ、人々が悟りに至ることを応援する存在であり、人間と仏の間に存在するものなのです。
- 武装している
- 山門や入り口に安置されることが多い
- 性別がはっきりしているものがある
金剛力士などが寺院の門や入り口に安置され、武装する仏が多いのは、煩悩の象徴である邪鬼を追い払うために武装し、にらみを利かせているからなんですね。
こちらは毘沙門天(びしゃもんてん)像です。
仏様の偉さで言うと、明王の次に位置するのが天部になります。
明王と天部の違い・見分け方!
それでは、明王と天部の違いは何でしょうか。どちらも怖い顔をしているし、どうやったら見分けることができるのでしょうか。
- 明王は人々を教えに導くため必死の形相をしているので、怒った顔や睨みつけるような顔をしています。目や手の数が多かったり、武器を持っていたりします。
- 天部は仏教の世界に煩悩が入るのを防いだり、悟りを開こうとする者を守るなど、ガードマンのような役割をしています。そのため、鎧を身につけたり剣を持ったり、武装している仏が多いのです。
なかなか見分けるのも難しいですが、明王や天部に出会ったら、どんなものを身につけたり持ったりしているのか、よ~く観察してみて下さい^^
編集後記
如来、菩薩、観音の違いと明王や天についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
今までは種類や特徴などを気にしたことがない方も、それぞれの特徴や理由を知ってみると、なるほど~と思う事も多いのではないでしょうか。
違いを理解したうえで参拝をすると、また違った見方ができますよね。次に寺院を訪れる時は、今までより一層楽しい参拝になると思います^^
多くの寺院にお参りしましたが、どの様な違いが仏様にあるのか知りませんでした。このページを見て本当にわかりやすくこれからのお寺参りが楽しみです。
はるみさん、こんにちは。
嬉しいコメントをありがとうございます!お寺って良いですよね。
分かりやすくありがとうございますm(__)m 如来様や菩薩様は存在した方々なのですか?教えて頂けたらありがたいです。
こんにちは。コメントありがとうございます。
> 如来様や菩薩様は存在した方々なのですか?
いえ、人間ではなく仏様ですので、存在した方々ではありません。